大田区議会第2回定例会(2020年6月11日〜 )に合わせて、羽田新ルート関連の陳情が出されています。日程としては、9日の議会運営委員会で付託先が決まれば、羽田空港対策特別委員会で審議されます(6月18日10:00~ )。 ぜひ、傍聴にお越しください。
① 横田の空域の現状とその影響などについて、区民に知らせて欲しい陳情
陳情の趣旨
羽田空港の新飛行ルートは、横田基地の空域を一部通過しますが、結果として空域がどうなったか、説明がありません。2008年の空域の一部削減で大田区に大きな影響がありましたがその時は事前に説明がありました。2018年の防衛白書には横田空域を削減して民間航空機の運航を円滑化すると書かれていますから、その影響が心配です。横田の空域の現状とその影響などについて、区民に知らせてください。
理由
2008年に横田基地の空域の一部が削減され9月25日から実施されました。このことについて、当時、国土交通省は、その年の7月1日に米軍の横田基地の空域削減に伴い、羽田空港から西方面に向かう出発機について、より効率的な運行を可能にする新しい飛行経路を設定すると発表しましたが、大田区議会にも報告がありました。
当時、大田区議会の羽田空港対策特別委員会に、横田基地があって、民間航空機がその空域を通過する際、高さ等についての制限があったが、2008年9月から、そういった制限が緩和されること。それに伴い、飛行経路の一部が変更になることが報告されました。
この時の横田基地の空域の一部削減により、飛行経路の一部が変更になり、行き先・方面、それぞれあるが、時間短縮効果は約7,200時間、平均すると約3分の短縮になり、燃料費の削減で約3,300万リットル、年間国内線燃料総使用量(平成18年度)の約0.74%に相当する。経済効果は、コスト削減効果で約52億円、時間短縮による旅客便益増加効果で約46億円の合計で約98億円になると報告されました。
一方、 環境改善効果としてCO2が 約8万1千 t削減されるという報告もありますが、羽田空港のCO2の総排出量については、国際便の場合にどう把握するかなどもあり、大田区に報告されていないのが現状です。
また、飛行経路についても、北風時と南風時に分けて、離陸して北陸方面、福岡、広島、三陸、ソウル方面、九州法眼、大阪方面、と4つのルートに分かれて離陸する状況について当時の飛行経路と、新しい飛行経路について、図面を示して説明しています。くわえて、削減前と後の制限空域を3Dであらわしたものも示されました。 具体的には、福岡・広島方面で、川崎の埋め立て地の時点で高度が約6500フィート以上を確保されていく、とか、大師橋の付近で4000フィート程度など、詳細にその影響がわかるよう説明していました。(添付資料)
当時の委員会では、横田の空域の返還を求める声はありましたが、返還による騒音影響などについて、指摘する発言はありませんでした。
しかし、実際に、新しいルートで飛行が始まったら、横田空域の一部削減に伴う飛行経路の変更が始まった9月25日から、12月3日までに大田区民から、寄せらた意見や苦情は94件もあり、大田区は、その状況を踏まえて、改善を要望すると答弁しています。
3月に始まった新飛行ルートが横田の空域にかかる形になっていることは、2015年9月の羽田空港対策特別委員会においてすでに、大田区は知っていて、「A滑走路に着陸するルートで少しひっかかる」「B滑走路から、川崎のほうに出発する飛行経路が、通常考えると、出発したら、西方面に真っすぐ行けばいいではないかと思うけれども、このまま真っすぐ行くと壁に当たってしまうので、ぐるっと回らざるを得ない。ここで、壁にややかかる」と説明しています。
ここのB滑走路西向き出発の飛行経路の一部、それから、A滑走路への着陸する経路の一部が横田空域の壁に干渉するという状況だとして、
その時、大田区は、横田基地の空域について、
・アメリカとの調整が必要と考えている
・これは、まず、今の地域の理解というのが前提だと思う
・対話やご説明を積み重ねていくという上に立って、アメリカとの調整というのは生まれる
と答弁しています。
結果として、現在、横田空域にかかる飛行経路を国は決定し、新飛行ルートが始まっています。
2018年の防衛白書には、横田空域について、
「米軍が進入管制を行っている横田空域における民間航空機の運航を円滑化するため、06(平成18)年以降、空域の一部について管制業務の責任を一時的に日本側に移管する措置、横田ラプコン(RAPCON:Radar Approach Control)施設への空自管制官の併置、空域の約40%の削減(米軍の管制業務の返還)が行われている。」
と、すでに、40%の削減が行われていると書かれていますが、2008年のように、実際にいつからどこの部分が削減されたかや、運行に関わる影響については、説明がありません。
少なくとも、現状の時点で空域がどうなっているのか、それによる影響がどうなるのか、区民に知らせてください。
また、今後、空域が削減されたことで、防衛白書に書かれているように「民間航空機の運航を円滑化」するため、さらなる飛行ルートの変更の可能性の有無について、現在大田区が知っていることを含め、国土交通省にも確認して、区民に知らせてください。
② 3 月 26 日に区長が国土交通大臣に提出した 要望を後押しする区議会決議等をあげる陳情
<趣旨> 松原忠義大田区長は、3 月 26 日に、「羽田空港の機能強化等に関する要 望」を国土交通大臣に提出しました。区民の不安解消をめざす区長要望が 実現するよう、ぜひ、後押しするための区議会決議等をあげてください。
<理由> 3 月 26 日に松原忠義大田区長が赤羽一嘉国土交通大臣に提出した「羽田 空港の機能強化等に関する要望」の主な内容は、
① 騒音軽減対策の実施
② 安全対策の確実な実施とさらなる対策の強化、徹底
③ 新飛行経路におけるゴーアラウンドの図示
④ 騒音測定局の増設検討
⑤ 区民の不安を払拭する情報提供の実施
⑥ 現行滑走路運用における騒音軽減
⑦ ゴーアラウンド減少に向けた取り組み状況に関する情報提供
⑧ 区民等への具体的内容を明示した情報公開
⑨ ゴーアラウンド、イレギュラー運航、大気汚染、その他航空に関する 大田区への迅速かつ適切な情報提供、区民等に対する確実な情報公開
⑩ 羽田空港周辺地域に住む区民の要望、地域の声への適切な対応 などです。
松原区長の要望は、大田区民にとって大切なものばかりです。区長要望 が実現するように、大田区議会としても区議会決議等をあげていただけれ ばと思います。 よろしくお願いいたします。
③ 羽田空港国際線増便の目的消失による、航空機の新飛行経路の飛行停止を国に望む陳情
<趣旨>
羽田空港国際線増便の目的が、現在、コロナ禍により消失しています。
目的が存在しないのですから、目的実現のための新飛行経路の飛行は停止されるべきです。
<理由>
国(国土交通省)は、羽田空港の国際線増便の目的を4つあげています。
①ビジネスを活性化(国際競争力の強化)
②外国人観光客のさらなる受け入れ
③地方を元気に(国内線と国際線を結び、世界と地方を近づける)
④東京オリンピックを円滑に開催
しかし、コロナ禍により、国際線は増便どころか著しい減便になっており(5月17日の週は95%以上の減便)、増便のための4つの目的は消失しています。
3月26日には、赤羽一嘉国土交通大臣に『羽田空港新飛行経路の運用に関する対応について』の要望書を、松原忠義大田区長と福田紀彦川崎市長が連名で提出していることからも分かる通り, 羽田空港の機能強化、新飛行経路の運用には、未だ数多くの問題が残っています。
つまり、「増便の目的は消失しているが、新飛行経路の危険性は残っている」という現状です。
解決策は、「目的が消失した新飛行経路の飛行は停止する」ことです。
にもかかわらず、国際線は新飛行経路を安全の懸念がある3.45度の降下角で飛んでいます。騒音対策だと言われていますが、実機飛行の結果、最大で2.7デシベルの減音、逆に悪化した場合もあり、騒音対策の体をなしているとは言えません。
夏場は降下角が3.8度にもなり、滑走路の見え方が全く異なり危険性が高まります。「騒音効果がほとんどなく、危険性が高まる降下角3.45度での新飛行経路の飛行は停止」すべきです。
大田区議会が安心・安全な区民生活を重視して、新飛行経路の飛行停止を早急に国(国土交通省)に要望していただくよう陳情いたします。
④ コロナ禍で減便の今、増便目的の羽田新ルートの中止を国に要望して欲しいと願う陳情
<陳情の趣旨>
国際線の増便の為という理由で本年3月29日から始められた羽田の新ルートですが、今世界の人々がコロナ禍(新型コロナウィルスの感染症による災難) にあり人々の往来が縮小され航空便も大幅な減便となっているのに国内線を中 心に続行されています。コロナ禍は未だ収束の目処が立たない為来年のオリン ピック,パラリンピックの開催は危ぶまれ、また収束後もすぐに今までの様にイ ンバウンド の増加が可能かどうかも見込みが立たず、国際線の増便の為の新飛 行ルートを今続行する理由は見あたりません。また実際に都心の人口密集地へ の低空飛行が始まり、新ルートは予想された以上の騒音や圧迫感で飛行下の市 民を苦しめ、落下物や万が一の墜落事故等への不安も抱いています。コロナ禍 で経済も疲弊し国際線の増便の見込みも立たず、騒音が大きいだけでなく落下 物や墜落事故などのリスクを伴う危険 な内陸飛行である新ルートを即刻中止、 白紙撤回して頂き 、今までの一番安全な東京湾を利用した海上ルートに戻して いただきますよう国に要望していただきたく陳情申し上げます。 <理由>
オリンピック・パラリンピックや更なるインバウンドを向かい入れるという 経済政策の為に国際線を増便するという理由で本年3月29日から羽田空港にて 始められた新ルートですが、今日本だけでなく世界中の人々がコロナ禍(新型 コロナウィルスの感染症による災難)の渦中 に有り経済は疲弊し、国と国、ま た国内でも人の往来が縮小され航空便は内外とも大幅な減便となっているの に、国内線を中心に続行されています。コロナ禍は未だ収束の目処が立たない 為来年のオリンピック・パラリンピックの開催は危ぶまれ、また収束後もすぐ に今までの様にインバウンドの増加を見込めるかも判らず、国際線の増便の為 の新飛行ルートを減便の今国内線で続行する理由は見あたりません。 新ルートの安全対策として国は世界に類を見ない基準の落下物防止対策基準 を策定し実施していますが、その後も今年になって成田にて離陸直後の飛行機 からエンジンパネルの落下が有り、またこの5月にはパキスタンで羽田でもよ く見かけるハイテク機A320が二度目の着陸直前に空港手前1kmの住宅街に墜落 し100名近くの方が亡くなるという事故が起きました。対策をとっても落下物 は0には成らず、ハイテク機でも事故は起きているのです。飛行機は着陸8分離 陸3分に事故が起きやすいと言われていますがそれを裏付ける様な 落下物、事 故となってしまいました。この落墜落事故を南風運用時の新ルートに照らし合 わせると、新宿、渋谷、品川、大井町で起き得ると思われ、やはりこの新飛行 ルートは危険でやってはいけない事なの だと改めて思います。 国会でもコロナ禍の減便で新飛行ルートを飛ばす必要は無いのでないかと問 題にされましたが、国交大臣の答えは、(今まで公表されてこなかった) 千葉 県との確認書(2019年12月付)があるからやめられないとか、来年のオリンピ ック・パラリンピックの為の予行演習とするとか、余裕のある時にデータを蓄 積分析し安全度を高くするとか等減便なのに国際線の増便の為の新ルートを国 内線で行わなければ成らない理由として 納得のいく物ではありませんでした。 大田区長におかれましては3月に国に対して 区民が安心して生活出来るよう にする為の更なる要望書を出して頂きまして感謝の気持ちでおりますが、 コロ ナ禍で経済も疲弊し国際線を増便する見込みも立たず、予想より騒音が大きか っただけでなく落下物や墜落事故などのリスクを伴う危険な内陸飛行である新 ルートを中止、白紙撤回して頂き、今までの一番安全な東京湾を利用した海上 ルートに戻していただきますよう国に要望していただきたく陳情申し上げます。
⑤ 新経路の運用開始で京浜島の騒音が倍加する状況への対策を講じてほしい陳情
<陳情の趣旨> 3月29日から始まった新飛行ルートによる運用により、京浜島の騒音被害は従前から懸 念されている A 滑走路着陸による騒音に加えて、B滑走路からまさに離陸しようとするジェットエンジン音が相当の騒音をもたらしています。 1 騒音測定をしっかりやってください。そして、 2 京浜島で働く人々の被害を軽減するための方策を検討してくださるようお願いします。
<理由> 京浜島が新飛行経路の A滑走路着陸経路直下に位置し、高度 100 メートルほどの超低空で降りてくる飛行機の騒音が前々から問題とされてきました。しかし、京浜島が工 業専用地域であるため、仮に騒音を測定しても環境基準に該当しない地域であり、測定結果を評価することができないと環境対策課⻑は述べています。(令和1年6月20日羽田空港対策特別委員会) 京浜島には、22事業所、約5,200人が働いています。(出典:経済センサス(活動調査)、事業所・企業統計調査) 住⺠は居ない(正確には 6 人)とはいえ、飛行運用時間帯には多くの従業員が働いているのですから、騒音の環境基準に当たらないからと云ってそのままにして良いのでしょうか。 一方、大田区は京浜島で働く魅力を高めるとして京浜島まちづくりビジョンを平成27年度に策定しています。 そのような、大田区にとって重要なまちづくりの拠点に、新たにB滑走路離陸時の騒音という問題が加わったのです。これまであまり注目されてこなかった「離陸時フルスロットルジェット機騒音」です。大田区上空における南風時の新飛行経路を見ると、京浜島がまさに、B滑走路の東側の端にとても近いことがわかります。京浜島の南端からわずか 600 メートルほどの距離です。ジェット機の離陸後の騒音については少しずつ数値でわかるようになってきましたが、離陸直前滑走路を加速しながら進む際のジェット機音はあまり話題になっていませんでした。私自身、成田空港のすぐ近くまで行って離陸機の音を聞きましたが、耳をつんざくような不快な爆音でした。計画では、B滑走路離陸は南風時午後3時から7時までの間の3時間程度、1時間に20便です。そうなると、京浜島ではA滑走路着陸の14便/時に20便プラスして合計34便の影響を受けることになります。 さて、本年3月 29 日、新ルートの運用が開始されました。下に参考までに引用しましたように、大田区はこれまで運用開始前に説明してきたことに対して、運用開始された後に影響が出てくれば、区としてしっかり取り組むとしています。まさに、その時が来ました。コロナ禍で大幅減便されているものの、これまでとは全く状況が違います。大田区が大切にしているものづくりの伝統をこの京浜島でもしっかりと守り受け継いでいくためにも、飛行機騒音がもたらす影響を仔細に調査し、取り得る対策を早急に講じてくださいますよう、お願いします。 [参考引用] 令和1年6月 羽田空港対策特別委員会,06 月 20 日-01 号 17 ページ ・・・ 今までも、⻑年の歴史的な経緯も踏まえ、騒音対策については地域の皆様や議会の皆様と一緒になって取り組んできた経過がございますので、その精神は変わっておりませんし、引き続きそういう取り組みはさせていただきたいと思っております。いずれにいたしましても、新ルートにつきましては、まだ運用がされていないということでございますので、もし運用がされた後に影響が出てくれば、今まで取り組んできた経過なども踏まえながら、騒音対策、環境対策については、区としてしっかりと取り組みをしていくというところは、 同じように取り組んでまいるものでございます 。 [引用ここまで]
⑥ コンビナート上空飛行をやめてもB滑走路離陸を都心北上ルートにしないよう求める陳情
<陳情の趣旨>
B滑走路西向き離陸において大田区長は川崎市長とともに、川崎石油コンビナート上空飛行を避けるための要望を行いました。これにより、川崎コンビナート上空飛行をやめる場合、当初、新飛行ルートの一つとして国が示したB滑走路西向き離陸西旋回、都心北上ルートが行われることにならないよう、大田区から国に要望をしてください。
<理由>
3月26日に大田区長が川崎市長とともに、国交省に要望書を提出しました。川崎市長は【1】騒音・振動影響の軽減対策【2】防音工事助成制度の拡充【3】騒音測定局の増設【4】コンビナート上空飛行における安全対策【5】市民への丁寧な説明について、大田区長は、騒音影響への対応、安全対策の強化、空港周辺地域への対応などについて、要望書を提出したと報道されました。 区民のために要望いただき、ありがとうございます。
今回の川崎市長と大田区長の要望は、住民の安全や環境のためにとても必要な要望ですが、拭えない心配があります。当初、国は、B滑走路西向き離陸において、右旋回ルートと左旋回ルートの二つのルートを新飛行ルートとして示していたからです。
それが、2015年5月に国土交通省が、川崎市に説明した案では、市街地の騒音影響が広範囲に及ぶことを避けるのを理由に、臨海部から東京湾に抜ける左旋回ルート案に一本化しています。
市街地の騒音影響が広範囲に及ぶことを避けるのを理由に取り下げられた右旋回ルートは、多摩川対岸の殿町地区上空で右に旋回し、多摩川が大きく川崎市側に蛇行する南六郷のすぐ向こう側、川崎駅方向の市街地を通過したあと、田園調布付近から都心を北上するルートです。
今回、大田区長が川崎市長とともに提出した要望書の川崎市長の要望には、【4】コンビナート上空飛行における安全対策と記されています。
石油コンビナート上空を低空で航空機が飛ぶことは、危険であり、要望は適切だと考えます。しかしながら、これにより石油コンビナート上空飛行が取りやめになった場合、取り下げた右旋回ルートが復活するのではないかと心配です。
大田区と川崎市の要望で、B滑走路離陸右旋回ルートによる内陸飛行が復活しないよう国に要望してください。 ⑦ 羽田空港周辺の正確な騒音コンター図の公表を要望する陳情
<陳情の趣旨>
羽田空港周辺の詳細に記された騒音コンター図を区民に公表してください。
<理由>
都心低空飛行が始まり、日々騒音への心配が募ります。特に周辺に住む区民への騒音の影響の変化を知り、それに伴う生活環境と健康被害を防ぐためにも、飛行ルート変更前の羽田空港周辺の騒音状況の実態の把握が必要です。
成田空港周辺の詳細に記された騒音コンター図がありますが、羽田空港のものは見たことがありません。大田区は、所轄官庁に対し、羽田空港周辺の同様のものを提供、公開するように要望してください。
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